神戸ではたらく中年エンジニアのブログ

震災後に神戸で働きだしたジジイです。データベースにプログラムや機械装置、なんでも作ります。

「ハイテク ハイタッチ」ジョン・ネズビッツ

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「未来学者」というと、アルビントフラーくらいしか思いつきませんが、この人もIBMを退職してから、独自の観点から世の中のニュースを分析し、未来を予想して「メガトレンド」という本で一世を風靡した人らしいです。
章立ては大きく2つに分かれていて、「現在を読み解く」と「未来を読み解く」となっています。
前半のほうは、とても多くの事例を取り上げながら、ハイテクに溺れて知らないうちに人間性を変容させられている現代人を書いています。テクノロジーという定義づけからはいっていて、全体的に世の中をシニカルにとらえている表現が気に入りました。ちなみに、題目はメディアを中心にしたコンシューマ文化、テレビゲームと子供、暴力、教育といったことです。特に、僕はここんところ幼稚園児とよく遊んでいるので、興味深く、非常に考えさせられました。
後半は遺伝子テクノロジーがもたらす未来の人間の姿について。遺伝子プロファイル、ゲノム、遺伝子治療、クローン。神学者へのインタビューも多く、宗教と科学とが、いつまで経ってもくっつかない、対立する、その辺のヒントが書いてある気がします。これもまた、興味深い内容です。
本書一番最後のほうの、人間の死体やセックスの「標本芸術」については、ちょっと勇み足といった感じがして、興ざめでした。というより気持ち悪かったです。これはいらない、蛇足ですね。

ほんと、人間って、どこへ向かおうとしているのでしょうねえ。