神戸ではたらく中年エンジニアのブログ

震災後に神戸で働きだしたジジイです。DBシステム、プログラムに機械装置、なんでも作ります。

「陽だまりの彼女」越谷オサム

※初出2011/8月 最後の「映画化されるかもね」とあるように、実際に2013年映画化された。上野樹里ちゃんがとてもかわいい映画でした。

 

陽だまりの彼女越谷オサム


中学校の時、転校してから会ってなかった彼女に、10年ぶりで再会。
彼女はとても素敵な女性になっていた。
名前は「真緒」ちゃん。まーーおぉぉーー。
(この名前の意味も、最後の最後でワカル)
主人公は、ちょっと冴えない草食系男子。
初恋同士の、互いを思いあった中学時代の記憶。
そして、自然に二人の恋が再開し、実っていく。

――いやあ、ぬるい恋愛モノかと思ってたんすよ。
ラノベみたいな、テキトーなワープロ小説だろうね、なんて。
それが、帯にある推薦文にほだされて買っちゃって、そのまま最後まで読んじゃった。
もう、やられたね、これは。
二人の恋愛の一コマ一コマが、それはもう、かわいい、切ない、恥ずかしい。
こんなんでクスグラレルとは、オイラもヤキがまわったもんだ。
主人公の、彼女を思いやる気持ち。
つくりあげていく、二人の生活。

しかし、物語の端々に、なんか暗い影のようなものがつきまとってるのね。
彼女には幼少の頃の記憶がない。
たまに不可思議な行動をとる。
本当の彼女を、誰も知らない。
そしていつか、彼女が消えてしまうような予感。
そこが気になりつつも、このやさしい描写を、いつの間にか楽しんでいるわけよ。
いや、ホントぬるいんすよ、いちゃいちゃしやがってって、そう思うんすよ。
でもかわいいんすよ。やさしい気持ちになって、読めるんすよ。

そして残り30ページで、物語は暗転するの。
彼女は消え、すべてを失う主人公。
なにこれ。
どーすんのさ。
ていうか、なんなのさ、この展開?

で、もはや半泣きの状態で迎えるラストシーン。
ていうか、たった2ページね。
・・・これは、ハッピーエンドなのだろうか?
人によって、感想は違うでしょう。
僕の場合は、なんだか心がとても温かくなりました。

これはオススメ。
恋愛をひとまわりした人には、ど真ん中ストライクでしょう。
(オイラは、もう何周かしてるので、いいや)
そして今、大切な家族を持っている人にも。
少し振り返り、恋愛ていう、いとおしい時間を共有してたことを思い出してね。

ちなみに、作品中で一番好きな台詞は、

「お前、金魚のブライアン食ったろ」

です。
謎は解けた!
読めばワカル。とにかく読めよ。

物語の構成としては、完全に反則だと思いますが、その反則技でさえ、心地よく感じます。
映画化されるかもね。