神戸ではたらく中年エンジニアのブログ

震災後に神戸で働きだしたジジイです。データベースにプログラムや機械装置、なんでも作ります。

ハーバード卒の市長は、なぜ資産を隠すのか? 高島りょうすけ君の場合

まあとにかくね、権力ってのは腐る。 兵庫県なんかね、もう腐りまくって、現場のがんばりで持ってるだけ。 (どこも同じか) 井戸のじじいが20年も続けたもんだから、上にいけばいくほど、 自分たちでルールつくって、美味しいルールは自分のもの、 面倒なルールはなあなあにして守らない、というのが横行してる。

さて、その兵庫県で、芦屋市の市長になった高島りょうすけ君ね。 公開義務のある資産を間違って計上してた。

www.kobe-np.co.jp

もともとは、「資産なし」だった。

www.kobe-np.co.jp

報告書を作成する時点で気づいた、て言ってるけど。 いや、そんなわけないだろ。ハーバードだろ?参謀もいっぱいついてんだろ? 結局、ズルいんだよ。小賢しいんだよ。 破っても差しさわりないルールなら、無視するのよ。 それでも、行政ていうのは、決まったら進んでいくので、庶民は文句言えません。 唯一、対等な機会を与えられている選挙期間でさえ、下記のように、 選挙管理委員会なんて機能してないので、チート野郎が得をするようになってます。

hidejiro.net

例えば、首長がこういうことをしたら、議会が追及するとか、その逆もある。 今回は、中島という議員さんが、自身の会報で、 「まあ、あまりうるさく言わずに、見守りましょう」 みたいなこと書いてます。 権力者同士のなれあいがはじまります。 それなら最初から、資産公開の仕組みなんて、やめりゃいいんだよ。 報告書つくるのも時間とカネかかるし、それ税金だろ? 守れないルールなら、つくるなよ。

芦屋市ってね、JR芦屋駅降りたらわかるけど、ベンツしか走ってないんよ。(本当) 財政に余裕があるから、別に改革とか必要ないし、 「ハーバード」という金看板がある高島くんは、 このまま、金持ちたちのマスコットとして飼われていくんだと思います。

「沈まぬ太陽・御巣鷹山篇」山崎豊子

※初出1900年代 この事故があったのは少年時代で、お盆に親戚中が集まったお茶の間で、テレビを見ていた。親戚のおねえさん(美人)が、ワイドショーで被害者遺族に群がっているのを見て「可哀そうらてー、なんで死んだ人の家にまでいってインタビューするんら」と新潟弁で言ってたのだけ覚えてる。

沈まぬ太陽御巣鷹山

全5巻、話題作として本屋さんに平積みにされているので、目にする方も多いと思います。お話は、ある航空会社(国民航空となっていますが、まあ日本航空のことだわな)の社員が、労働組合の委員長になってから、会社のえらい人たちに目をつけられてアフリカとかに左遷させられて、10年も僻地をたらいまわしにされていびられながらもがんばるという、まあそんなお話です。半官半民の会社にありがちな行政との癒着、利権をめぐる人間の醜い争いなどが書いてあります。
長くて読みごたえは確かにあるのですが、小説として書いているのに、なんかスカッとしない中途半端な読み物という感想をもちました。主人公はいっつもいびられて、正直者は損をして、で、悪い人間はやりたい放題。最後まで救いのない(まあ、実話がもとだからしょうがないんだろうけど)ストーリーですね。

ただその中で、この「御巣鷹山篇」と題された3巻目だけは、心にしみた作品でした。

日航機墜落の事故に取材して、遺族はもちろん、そこに関わったすべての人たちのドキュメントといっていいでしょう。小説というかたちをとっていますが、作者の「御巣鷹山事故をこのまま風化させてはならない」という、作家としての執念が感じられます。あんな事故いまさら、という方には、一読をお勧めします。3巻だけでいいので。

遺体は飛び散り、焼け焦げ、酸鼻をきわめる事故現場の様子。
山深い現場で、懸命に捜索に当たる調査官、警官たち。染み付いた死臭に悩ませられながらも、ばらばらの遺体を人間のかたちにつないでいく医者たち。
遺体のすべてを見つけるために、何度も山に登り、何度も遺体安置所の棺をあけてまわる遺族たち。
死、死また死の地獄絵図です。520人もの人が、あっという間に死んでしまった。誰が悪いのでしょう?

絶望の淵に落とされた遺族が、食ってかかる相手は「お世話係」である主人公たちです。お世話係は「人殺し」となじられ、謝っても水をかけられ、土下座させられ、神経がまいって自殺する人間もいます。誰が悪いのでもない、良心の呵責も十分に受けている。でもやり場のない怒りは、どこかに向けられる。事故機を整備した整備士たちも、日ごと悪夢にうなされる。本当にやるせない思いになりました。
会社のえらい人たちは、マスコミの前ではお墓参りなんかをしますが、結局は官僚主義で、時間がたつのを待つだけです。機長やスッチー、整備士や地上勤務の社員、すべて現場の人間は、真剣に仕事に取り組んでいるのに、いつも貧乏くじをひくのは、現場の人間なのですね。
やがて保証金の交渉も始まり、遺族たちも否応なしに「カネ」の支配する世界へ巻き込まれていきます。日本の場合、訴訟とかすると損なので、示談ということになります。日本の法律は、被害者に厳しいのです。遺族を納得させるテクニックなんかもあって、これもまた、やるせない。

繰り返しますが、小説全体は別にして、本当に心に残る作品です。すべての出来事から目をそむけず、書ききった作者の根性を褒めるべきでしょうね。

 

追記:山崎豊子インタビュー「沈まぬ太陽を心に持って」
労組系のページですが、特集されてました。
http://www.kokko-net.org/kokkororen/s1034.htm#7

「からくり民主主義」高橋秀実

軽妙であるが辛辣。抜群におもしろいノンフィクションです。

 

「からくり民主主義」高橋秀実

ある出来事に対して、大上段に「この問題の本質は、こうだ!」と書けたら、簡単でしょうね。
テレビニュースをはじめ、多くのルポルタージュは、そんな感じです。「これが正義で、これが悪者!コイツが悪さしたから、犠牲者がでてかわいそう!コイツ許さん!」物事は単純化され、事件はあっという間に消化されてしまいます。

この作品は違います。

なにせ本人が「私の取材はいつも出遅れます」というだけに、その決めつけ期間が過ぎたあとでの、取材現場の冥利を感じることができます。うろうろと取材する筆者の姿が目に浮かぶようで、おもしろいし、なにより事件の本質が、いつまでもゆらゆらしている、その頼りなさを書き出しているところが最高。

題材も、それぞれ興味深く、原発基地問題、ムツゴロウとか(下記引用参照のこと)。
特に原発に依存して暮らす人々と、現在の福島の惨状を重ねると、非常に興味深く、大きな問題が見えてくる気がします。この著書では、話題の浜岡原発を取材しています。原発問題は、単純に被災者=被害者というわけではないのです(詳細は省略ね)。
で、なんと解説は村上春樹

で、以下はがんばりました。それぞれの章立てと、センテンスの引用です。

第1章 親切部隊 ――小さな親切運動
彼女によれば、席ゆずりのコツは「まず自分が座ること」だそうで、必ず座って年寄りが来るのを待ち構える。思いやりと気迫にあふれる親切である。

第2章 自分で考える人びと ――統一教会とマインドコントロール
世の常識にとらわれず、疑問を持ち、自分で考えた。
生き方としては正しいわけである。内容は別として。

第3章 忘れがたきふるさと ――世界遺産観光
大切なものって一体何?あらためて考えるとよくわからない。観光客があふれ、豊かな白川村にいると余計わからなくなる。それもそのはず、私たちは「ふるさと」を見ているのではなく。「ふるさと」という視点でひとつを見ようとしているだけなのだから。そのひとつが何だかわからないので、観光客は家に入りこみ、ウンコまでしてしまうのである。

第4章 みんなのエコロジー ――諫早湾干拓問題
問題はみんなでまわして先送り。

第5章 ガリバーの王国 ――上九一色村オウム反対運動
オウムの聖地、理想の開拓地、共産主義社会。
考えてみれば、どれも現実には居場所のないメルヘンである。

第6章 反対の賛成なのだ ――沖縄米軍基地問題
土地を奪われたという「犠牲」は、今はすっかり「特権」なのだった。

第7章 危険な日常 ――若狭湾原発銀座
大衆とともにある共産党共産党らしく活躍しているが、トラブルのたびに、申し入れに出かけるのは骨である。手取り一八万円の町議の給料では、とても生計は立てられず、高浜町共産党町議はやむなく、原発の孫請け作業を請け負っていた。

第8章 アホの効用 ――横山ノック知事セクハラ事件
「そんなごっつ儲かるんなら、わたしもケツさわらしたる」
大阪のおばさんは怒る。おばさん世論のオチは強烈である。

第9章 ぶらさがり天国 ――富士山青木ヶ原樹海探訪
「自殺するなら樹海です。大木の下は気分がいいし、人知れず消える。これは絶対おすすめです」
古老はさわやかに微笑み、私を誘うのであった。

第10章 平等なゲーム ――車椅子バスケットボール
障害者が書いた『五体不満足』が大ベストセラーとなった。障害を不幸としてとらえない彼のその爽やかさぶりが大いに受けたのである。おかげで性格が爽やかでない障害者は「何でお前は暗いのか?」と言われるようになった。

「猫鳴り」沼田まほかる

※初出2012/06/15 冗長になっている部分を修正。

「猫鳴り」沼田まほかる

なんという、いとおしい小説だろう。
小さな命、生きる暗闇、死に向かうことのおだやかさ。
約200ページ。三部構成で、それぞれが短編として完結しているが、そこに20年という月日が流れる。

――何度も何度も、執拗に猫を捨てに行く女。
生きようともがく子猫と、流産でいのちを喪失した女との邂逅。
妻の情感と色香が、夫婦の深いかなしみの中に漂う。
生き続けていくということはつまり、かなしいことなんだろう。

――成長することへの不安、世界を憎む少年。
もてあます性欲、生きるものに対する敵意と嫌悪。
不安定な心をかかえたまま、少年は瀕死の子猫を看病する。

――老いた猫と老人、そして死。
やがて妻も死んで、すべてが移ろった空間で、猫の最期を看取る老人。
その、つきぬけた孤独感。

一人になってみると、それは何というべきか、この上もなく一人で、信枝の姿がないのはいたしかたないにしても、二人で育み続けた見えない赤ん坊の気配までもが、もう空気の中に感じられなくなっていて、がらんとした家の中に、猫一匹がうずくまっているばかりなのだった。

静かに流れる物語。
平易な言葉で、紡ぎだされた物語。
そこに、はかなくもちから強い生命が描きだされる。
一匹の、猫がいる。
奇跡のような小説だ。

「陽だまりの彼女」越谷オサム

※初出2011/8月 最後の「映画化されるかもね」とあるように、実際に2013年映画化された。上野樹里ちゃんがとてもかわいい映画でした。

 

陽だまりの彼女越谷オサム


中学校の時、転校してから会ってなかった彼女に、10年ぶりで再会。
彼女はとても素敵な女性になっていた。
名前は「真緒」ちゃん。まーーおぉぉーー。
(この名前の意味も、最後の最後でワカル)
主人公は、ちょっと冴えない草食系男子。
初恋同士の、互いを思いあった中学時代の記憶。
そして、自然に二人の恋が再開し、実っていく。

――いやあ、ぬるい恋愛モノかと思ってたんすよ。
ラノベみたいな、テキトーなワープロ小説だろうね、なんて。
それが、帯にある推薦文にほだされて買っちゃって、そのまま最後まで読んじゃった。
もう、やられたね、これは。
二人の恋愛の一コマ一コマが、それはもう、かわいい、切ない、恥ずかしい。
こんなんでクスグラレルとは、オイラもヤキがまわったもんだ。
主人公の、彼女を思いやる気持ち。
つくりあげていく、二人の生活。

しかし、物語の端々に、なんか暗い影のようなものがつきまとってるのね。
彼女には幼少の頃の記憶がない。
たまに不可思議な行動をとる。
本当の彼女を、誰も知らない。
そしていつか、彼女が消えてしまうような予感。
そこが気になりつつも、このやさしい描写を、いつの間にか楽しんでいるわけよ。
いや、ホントぬるいんすよ、いちゃいちゃしやがってって、そう思うんすよ。
でもかわいいんすよ。やさしい気持ちになって、読めるんすよ。

そして残り30ページで、物語は暗転するの。
彼女は消え、すべてを失う主人公。
なにこれ。
どーすんのさ。
ていうか、なんなのさ、この展開?

で、もはや半泣きの状態で迎えるラストシーン。
ていうか、たった2ページね。
・・・これは、ハッピーエンドなのだろうか?
人によって、感想は違うでしょう。
僕の場合は、なんだか心がとても温かくなりました。

これはオススメ。
恋愛をひとまわりした人には、ど真ん中ストライクでしょう。
(オイラは、もう何周かしてるので、いいや)
そして今、大切な家族を持っている人にも。
少し振り返り、恋愛ていう、いとおしい時間を共有してたことを思い出してね。

ちなみに、作品中で一番好きな台詞は、

「お前、金魚のブライアン食ったろ」

です。
謎は解けた!
読めばワカル。とにかく読めよ。

物語の構成としては、完全に反則だと思いますが、その反則技でさえ、心地よく感じます。
映画化されるかもね。

ハーバード卒の最年少市長は、なぜ選挙違反をしたのか? 高島りょうすけ君の場合

※以前に書いた記事に追記、表現を一部変えています。

カネ持ってて頭もいい、なんで選挙違反を?

という疑問がアタマから離れず、この記事をまとめる。
まとめているうちに、権力の座につける人間というのは、こういうことなのかな、という感覚がわかった。

最近は裏金問題にハレンチ接待。権力者はやりたい放題で、なんでかというと、この世は権力者の作ったルールで動いているからだ。もし追及されても、「知りませんでした」で済むようになっている。

昨年、見事に権力の座についた、「史上最年少の市長」である、高島りょうすけ。

ちなみに、彼は自民党員でもある。

当選後、およそ1年、

安芸高田市の石丸市長のように、市議会とやりあうこともなく

明石市の元市長、泉房穂さんのような突破力もなく

この任期4年をつつがなく過ごすのだろう。

そして多分、「元市長」という肩書をひっさげて、政界入りしていくのだと思う。

結局、頭のいいチートな若者が、ズルをして当選しただけだった。

そんな彼がやっていた選挙違反行為と、選挙の裏技を検証しつつ、違反を正すことのできない仕組みについて、考えていきたい。

選挙時間外でのビラ配りと連呼行為

公職選挙法第140条の二が禁止する「選挙期間外の選挙運動」に抵触する。

公職選挙法は、「権力をしばることができる」唯一の法律である。金持ち貧乏に関係なく、候補者たちが公平に選挙戦ができるように、いろんな制限がかけられる。

興味深いのは、高島くんが違反してるのは、この点だけで、他の戦略(後述する)については、注意深く守っているということだ。表現の自由である政治活動と、投票の権利である選挙期間。そのふたつの違いをしっかりと理解し、遵守している。そして、なぜこの点だけを堂々と破っていたのか、そこに着目してほしい。

 

(目次)

  1. 組織的な「違反行為」の証拠
  2. 選挙管理委員会の「やってますアピール」
  3. 高島くんの、華麗なる選挙戦略
  4. 捕まらなければ、違反ではない

 

1.組織的な「違反行為」の証拠

具体的に言うと、選挙期間中に、

  • ビラ配り → 第百九条の六 に抵触
  • 時間外の連呼行為 → 第百四十条の二 に抵触

をしてた。それも、組織的に行っていた。

選挙戦初日の写真。JR芦屋駅北口前。通勤の人たちが多い。

8時前なので、他の候補者はタスキをつけて、「おはようございます」とだけ挨拶する。自分の名前を言うのは違反になる。自分の名前が書いてあるタスキとご挨拶。ここまでは選挙活動の範囲外として許されている。

撮影日時 2023/04/17 7:48

「高島りょうすけです!よろしくお願いします!」とハッキリと連呼していたが、この写真だけでは、連呼行為の証拠にはならない。ビラ配りのみの証拠である。

ビラ配りは、時間だけでなく場所についても明確な制限規定があるのだが、どちらも無視していた。ズルい。

後ろにいるのはS議員のスタッフ

こちらに、Exif情報を含むオリジナルのデータを貼っておく。撮影時間とGPS情報が見れる。

https://www.dropbox.com/scl/fi/gcy0a9ca2oofaarw3rfbk/PXL_20230416_224810920.jpg?rlkey=90e3uzwu4xybeknrhypxtjun5&dl=0

 

もうひとつは、同じ場所での「動いてて音もある証拠」

 

4月20日、7:18。おいおい朝早過ぎんだろ。
事務所をあげての選挙違反なのだろう。事務員さんたちが、勝手にやるわけないので、誰かの指示のもと、行われているはずだ。

グリーンの服を着たおねーさんの、

「高島りょうすけと申します」が完璧に聞き取れる。

さらにビラ配り行為も確認できる。

これくらいのことで怒るな

彼はリスクをとってやったんだ

こういう若者が、政治をかえるんだ!

という意見をいただいたのだが、とんでもない。

この行為の責任は、女の子たち自身にかかる。

二年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金

けっこう重いよね。

 

2.選挙管理委員会の「やってますアピール」

これは注意して、取り締まってもらわないと。選管の局長さんに、聞いてみた。やっぱり違反だった。しかも選管は知っていた。

今回の違反状態は認識している
市長候補だけでなく、議員候補のヤツ等も同じことをしているようだ
選挙活動のしおり、一生懸命つくったし!説明会もひらいて、ていねいに説明したし!
選管には取締り権限はないけど、ケーサツと連携して取り締まることができるゾ!
議会の解散請求なんかもできるんだゾ!

おお、さすが選管、民主主義の良心。

では、どーするのか?

(今後の対策について)
オレ達の勤務は9時からなので、7時とか8時とかのことは知らない。
今回やり過ごせばもう関係ないから、次回からがんばるよう申し送りした。
お金を配ったとかじゃないので、ケーサツは動かないと思います。

 

およよー

こういう人たちは「前例になる」ことを極度に恐れる。
自分の担当のときになにも起きないよう、目をつぶる。

どうやら「申し送り」をしたらしい。

どこに、どのように伝わったの?高島くん、反省したの?

数人の議員さんにも、言ってみたけど、議会に取り上げられることもない。当たり前だ。当選した議員たちが、いまさら波風をたてる必要はない。見て見ぬふり、を決め込むということだ。

 

3.高島くんの、華麗なる選挙戦略

ここからは、高島くんの華麗なる選挙戦を振り返る。

「おとうとの名前で選挙前活動」 違反度:グレー

まずはグレーな戦略について デイリー新潮さんが取り上げてた

選挙期間前なので、政治活動としてやってる

違反行為というには、前例がなく、判断が難しい。

でもズルい。

カネさえあれば、政治活動と称して、ここまでできるんだぞ、という見本である。

公職選挙法は、ポスター枚数や張り出し場所を制限することで、フェアに競争ができるようにしてるのに、裏技をカネのチカラでブーストしてるわけだ。

でもなぜ、こんなにカネも裏技も使えるのに、違反行為をしたんだ?

 

「自分磨きで鍛えたコミュ力」 違反度:白

自分磨き 伝え方トレーニングサービス kaeka

共同レッスンのコースが、¥382,800/6か月。なのでパーソナルだと、100万円くらいするのではないかな。もちろん指導内容は、とてもいいものなのだろう。

ハーバードまで行って、さらにトレーニングを積むとか、カネと気合が半端ないです。

自分磨きなので、自分のカネでやれば、違反でもなんでもない。

でもなぜ、これだけ自己鍛錬できる人間が、わざわざ違反行為をしたんだ?

 

「パンフレット全戸にばら撒き作戦」 違反度:白

フルカラー印刷の政策提案集 すごいカネかけてつくってる

「高島りょうすけ」パンフレットを全戸にポスティング
36ページフルカラーの冊子を、全戸配布してた。約2万部として、印刷代だけでも100万円、さらに配布にいくらかかったのか?

通常の広告なら、全部で300万円はかかると思う。ただ、選挙違反かというとそうでなく、ちょうど選挙期間の前日(30日前)に配っているし、「市長候補」の文言もないので、政治活動にあたり、違反ではない。

それにしても「全戸配布」である。議員でなくても、うらやましい。

パンフレットは、こちらからダウンロードできる。

https://firebasestorage.googleapis.com/v0/b/ryosuke-takashima.appspot.com/o/document%2Ftakashima_seisaku.pdf?alt=media

なぜ、これだけいいタイミングで広告だせるのに、選挙当日に違反行為をしたんだ?

 

「ほかの政治家とのコラボ」 違反度:不明

こちらは選挙期間中に張り出された

 

こちらには「市長候補」という文言がない

こういう、ダブルネームのポスターを見るのは、珍しくなくなった。
政治団体としての活動であれば、選挙期間中でもうまいこと自分の名前をポスターで張り出すことができる。
なんにせよ、このポスターもどれくらい刷ったのだろうか?
どんだけカネ持ってんねん。うらやましいぞ。

他の市長がわざわざ応援も来る人物が、なぜ違反行為をしたんだ?

 

上記の見事でカネまみれな作戦は、

政治活動なのか → 表現の自由

選挙活動なのか → 公平に守られるが、制限がかかる

このふたつの違い(バグ)をうまく利用している。

NHK党の立花孝志を彷彿とさせる。

では、その知恵を誰が授けたのか?

 

というわけで、選挙参謀の登場である。

選挙プランナーの松田馨氏」 違反度:不明

ギャラについては、コンサル料金なので不明。もちろん、選挙事務所での会計にはしてないだろうから、お金のうえではセーフ。

そして、松田氏はこう謳うのである

「選挙違反ゼロを徹底した上で、勝つための様々なサポートをご提供させていただきます。」

選挙違反ゼロ?

では、今回の違反行為は、松田氏の指示ではないということか。松田氏はその場にいなかった?

じゃあ、誰が事務所をあげて、時間外の連呼行為、ビラ配りをやらせたんだ?

その判断は、誰がしたんだ?

 

4.捕まらなければ、違反ではない

権力をつかむには、
時勢
カネ
詐術(ずる)
どれかが必要になる。
高島くんは、全部使ったというのが、わかるだろう。

優秀で、実行力もあって、魅力も磨いた。資金力のあるバックがあり、カネはじゃぶじゃぶ使える。デキる参謀もついてる。

そして最後の最後に、ズルをした。

なぜか?

ここで、選管の言ったことが思い出される

勤務は9時からなので、7時とか8時とかのことは知らない。
今回やり過ごせばもう関係ないから、次回からがんばるよう申し送りした。
お金を配ったとかじゃないので、ケーサツは動かないと思います。

そして、ようやく、わかった。

「なぜ、これだけ才能もカネもある人間が、違反行為をするのか」

違反行為は「選管の目の届かないところ」で行われた。

つまり、違反として取り締まられなければ、違反ではない。

スピード違反と同じことだ。

現在、裏金の問題で、権力者たちが問い詰められてるが、あれも結局、「知らんかった 言われたら返します」程度で済むのだろう。(実際そうなった)

カネも詐術も、権力に染まった人間にとっては、思いのまま、やりたい放題なのだ。

 

権力をしばれる唯一の法律である公職選挙法
これが権力者に対抗できる最後の砦なのだが、選管がへたれなので、どーにもならない。

 

ぜひ、取材力のあるメディアさんには、

に、事実確認をしていただきたい。

(本気で取材したければ、議員さんの実名など教えます)

 

最後に、そんな高島くんに、ひとつだけお願いがある。

ラグビーが趣味です」なんて言って欲しくない。

ラグビーは過酷なスポーツだが、「フェアに」試合をするから、選手は全力をだして戦い、見るほうも感動できるのだ。

どうか、ラグビーの尊厳を汚さないでください。

審判が見ていないなら、ズルもありですか。
まったく、どういう教育受けてきたんだよ。
あ、灘、東大、ハーバードでしたか。

 

(了)文責:松尾秀司郎

「ハチはなぜ大量死したのか」ローワン・ジェイコブセン

 

ハチはなぜ大量死したのか


原題は「Fruitless Fall(実りなき秋)」なので、レイチェル・カーソンの「Silent Spring(沈黙の春)」とかけているのだと思います。

自然破壊に対する啓蒙書なのか、はたまたミツバチ大量死という事件の謎解きミステリーなのか。
どちらにもおさまらない、幅広く、深い視点で書かれた本です。

はじめに語られる「ミツバチの蒸発、そして大量死」の事実。
なんと北半球の4分の1ものハチが死に絶え、CCD(Colony Collapse Disorder、蜂群崩壊症候群)と名付けられます。

こういったコロニーは、花蜜が流れて蜂蜜を潤沢に作り出したあとや蜂児を長い間育てたあとは、強勢で生産性の高い巣のように見えている。だが秋や初冬になると……非常に短期間のうちに変化が生じ、山のような蜂蜜を残したまま、蜂の姿が消えてしまうんだ。

そして原因の追究がはじまります。
農薬、ダニと天敵、殺虫剤、遺伝子組み換え、宇宙人(笑)、新種のウィルス――様々な推理がされていき、それら原因がいくつも重なった複合汚染が考えられます。
さらに読み進むにつれて、人間の「経済社会」に組み込まれてしまったミツバチ社会の悲劇を目の当たりにすることになります。

急激に、静かに破壊されていくミツバチ社会。
しかし、「沈黙の春」の時代より、さらに複雑化した現代、「じゃあ農薬禁止ね」と、それだけでは何の解決になりません。
では、ダニを絶滅させる?殺虫剤禁止?更なる遺伝子組み換え?
進化という仕組みが到達した、現在の自然。その複雑性、多様性。
そのことに、人間は前よりも深く気づいています。
そして、人間社会だけでも、経済の複雑性はどうにも制御のきかないものです。
すべては場当たり的な対処でしかないことに気づきます。

経済性のよい作物の「受粉要員」としてだけレンタルされるミツバチたち。
彼らをドラッグ漬けにして限界まで使い込み、疲弊させる人間の経済社会。
誰も、絶望的な破滅を止めることができないのでしょうか?

ある養蜂家は語ります。

私たちが自然のすべてを理解することは決してないだろう。けれども、自然の慈悲深い心配りと庇護のもとで暮らし働くすべを学ぶことはできる。

そして筆者は絶望に瀕しながらも、我々にはまだ、選択する時間が残されている、と語りかけます。

何を選ぶかはあなたの自由だ。私たちにはまだ、どんな世界で働き、暮らしたいかを選ぶ余地が残されている。もしかしたら、毒を盛り、すみかを破壊して花粉媒介者を排除しても、人間はなんとかやっていけるかもしれない。人間蜂として暮らすこともいとわないほど貧しく必死な人たちがじゅうぶんにいて、子供たちにタバコのフィルターを握らせて木のこずえ高く登らせ続けるかもしれない。そして、こんな方法で実をつけた果物が買えるほど豊かな人はいつだって存在するだろう。

人間の罪深さというだけの、月並みな論点に終始せず、進化の厳密さ、無情さにまで思いを巡らせてくれる。
さらに、解説ではニホンミツバチのことと、狂牛病(BSE)のことにも触れられています。
このBSEに関する部分だけでも、ずしりとくる事実の重みを感じることができるでしょう。

良書です。ぜひ読んでみてください。

※初出2011.7.24