「トリビュート」というのは「捧げもの」という意味で、亡くなった人への敬意を込めた贈り物のことだと思っていたのです。追悼版っていう感じでしょうか。
で、とても昔ですが、オジーオズボーンの「トリビュート・トゥ・ランディーローズ」というアルバムがあったのですね。これはすごいアルバムで、ライブテイクなのですが、人間はこういう演奏をしちゃうと、あとは死んでしまうしかないのではないか、と僕は思っているのです。まあ、一度聞いてみてください。くるってまっせ。で、ランディローズというギタリストは、そのとおり飛行機事故で死んでしまったわけです。そんな彼に捧げる、というオジーの気持ちで「トリビュート」というアルバムが発売されたのですね。
で、この間なんばのレコード屋で、「トリビュート・トゥ・オズ」を見つけたわけです。なんや、オジーも死んでしまったのか、と早合点して買ってしまったのです。でも、よく考えると、彼が死んじゃったというニュースも聞いたことないし、こうもりとか食ってるんだから、長生きしそうだよなあ、と思っていたら、やっぱり死んでないみたいです。じゃあ、なんでトリビュートやねん。と解説を読むと、なにも死んだ人向けでなくても、「敬意を込めて」演奏すればトリビュートになっちゃうみたいです。いろいろなアーティストが参加して、人の曲を演奏するわけです。
で、こういう動きって、結構流行ったみたいですね。「数あるトリビュートアルバムの中でも、いい出来だ」みたいなライターノーツがありました。うーん、「トリビュート」でなくて「カバー」ていうんじゃないかなあ。
ランディーローズへのトリビュートというアルバムが、あまりにも僕にインパクトを与えていたために、言葉の意味が固定してたわけですね。
さて、じゃあ内容はどうかというと、結構おもしろかったです。イングウェーのギターがあったり、「みぃ~すたくろーぅりぃ~」とか唐突な声で歌いだすティム”リパー”オーエンスとかも、めちゃおちゃめ。倒錯の美のたたかいが繰り広げられます。リサ・ローブの歌う「グッバイトゥロマンス」は、かわいくて一聴の価値はあるんじゃないかしら。