神戸ではたらく中年エンジニアのブログ

震災後に神戸で働きだしたジジイです。DBシステム、プログラムに機械装置、なんでも作ります。

「青春デンデケデケデケ」芦原すなお

イメージ 1

青春小説、というとなんだかいい年こいて読むのもどうかと思いますが、友達、音楽、バイトに恋、高校生の明るく切ない時代。あの輝きはー、もう戻らないのねー(なんの歌や)。
高校時代を書いたちょっといい小説で有名なところでは、村上龍の「69」がありますが、この作品も秀逸です。讃岐の方言がいい感じですし、たまに出てくるうどんが讃岐文化を演出しています。
ギターを手にした少年が、友人たちと一緒に、文化祭でライブをやるまでの、まあ、そんなお話。でも、なんとなく読み返してしまう。そんな魅力をもった作品です。
いくつか、印象的な表現を抜き書きします。文章のうまい作家ですね。

「音楽の本当の楽しみはクラシック音楽にこそ求めるべきで、ポップスは若いうちは楽しめても、大人になれば飽きてしまう。その点クラシックは八十歳になっても楽しめる。本当の芸術とはそういうものだ――なんてことを考えていたのだった。
だが、このときの「デンデケデケデケ」はきいた。きき上げた。この愚劣な俗物根性はきれいさっぱり吹き飛ばされ、頭の中を《パイプライン》がくり返し、くり返し流れていた。」

「みちこ姉ちゃんはやさしくて、よく頭をなでてくれたし、ときには、本気で逃げる気もないのに逃げるぼくをつかまえて、背後からぎゅっと抱きしめて持ち上げてくれた。いい匂いのするみちこ姉ちゃんに抱き上げられるのは、もう何とも言えんいい気持ちで、痛いくらい胸がどきどきした。」

「ギターを手に入れた日の晩から、ぼくはギターを枕もとに置いて寝るようになった。ほんとは抱いて寝たかったけど、母豚が寝ているうちに子豚を圧死させるみたいなことになるといけないので、枕もとに置いたのである。それに、不浄の妄想みなぎる寝床での添い寝はちとおそれ多い、とも思ったのだった。」

「この世には悪意というものはないのだ、あったとしてもほんの少しのもので、善意のほうがすっと多い――などと、ぼくはふとそんなたわけたことをぼーっとした頭で考えているうちに、やさしい祖谷の闇に包まれていつしか深い眠りに落ちた。」

いい描写は、まだまだあるぞ。
かの大林宣彦監督が、映画にしたそうだ。見つけたら、見てみようっと。